そんな方は是非この記事を読んでみてください。
- 簿記全体の流れがわかる。
- 効率よく学べる。
簿記の場合、「簿記一巡の手続き」といって、取引→仕訳→転記→試算表→財務諸表といった年間スケジュールに沿って手続きが行われています。自分が学習している部分がその中のどの部分に該当するのかをつねに把握しておくとよいでしょう。
簿記一巡の手続きを、下の画像に全てまとめました。

この図を頭に入れるだけで勉強の効率はかなり上がります。
説明と一緒にご覧ください。
①期首の手続き(開始手続)
期首繰越試算表
資産・負債・資本を前期から繰り越したものを、会計期間の初めに開始仕訳というものを行います。
開始仕訳は家計簿などでいう前月繰越のようなものだと考えて下さい。
家計簿をつけるとき、最初に「今いくらあるのか」を記入するように、簿記でも期首に資産・負債・資本の残高をに記入します。
「現金はいくらあるのか」「借金はいくらあるのか」など、現時点の財産の状態を記入するものと考えましょう。
後から説明する期末繰越資産表をもとに作成されます。
期首再振替
決算後の翌期首に行う仕訳に再振替仕訳があります。
再振替仕訳は決算整理仕訳を取り消す逆仕訳です。
決算で収益や費用の繰り延べや見越しをした経過勘定の科目を対象に行います。
再振替仕訳をする代表的なものに次のようなものがあります。
通信費(切手)や印紙(租税公課)を貯蔵品に振り替えた決算整理仕訳は再振替仕訳の対象です。
②期中の手続き
期中にはさまざまな取引が行われます。
簿記でいう取引とは、一言で言えば「財産や利益などの増減」です。
「現金が増えた」「借金が増えた」「売上が上がった」などが取引にあたります。
取引が行われるたびに簿記のルールに従って記帳していきます。
記帳のときに最初に行うのが仕訳です。
仕訳を切ったあと、総勘定元帳へ転記します。
③期末の手続き
試算表(前TB)を作成する
総勘定元帳を元に、期末時点での財産や利益などの金額を表にします。
この表を試算表といい、期中の仕訳や総勘定元帳への転記がミスなく行われているかを確認するために行います。
決算整理仕訳前の試算表を前TBと言います。
決算整理仕訳を行う
期中の仕訳や転記がミスなく行われていることを確認したら、決算整理仕訳を行います。
決算整理仕訳が簿記の学習では重要です。
決算整理とは、一言で言えば、会計期間での利益や損失を適正に表すための仕訳です。
期中の取引をただまとめただけではその会計期間での利益や損失を適正に求めることはできないからです。
それはなぜか?
取引をしていくと、前払や前受をする場面が何度かあります。
次期の会計期間にあたる家賃を当期に支払った場合、その金額を当期の費用としてはいけません。
このように、会計期間での利益や損失を適正に求めるために行うのが決算整理であり、決算整理仕訳です。
決算整理仕訳の対象は、未払費用 、未収収益 、前払費用 、前受収益 、貸倒引当金、貯蔵品、売上原価の算出などが当たります。
決算整理後試算表(後TB)の作成
決算整理仕訳後に、決算整理前試算表(前TB)にプラスマイナス修正記入した結果を羅列したものを、決算整理後残高試算表(後TB)といいます。
後T/Bは財務諸表作成や前に決算整理仕訳が正しく行われているか(貸借が一致するか)を調べるために作ります。
決算振替仕訳
損益振替と資本振替
損益勘定(pl科目)は次期に持ち越すことはなく、あくまで当期の売上、費用を示すものです。
そこでPL科目を振り替えて、ゼロにする仕訳をします。
決算整理仕訳を終えたら新たに「損益勘定」を作成し、費用と収益を損益勘定に振り替えて、貸借差額から「当期純利益」を求めます。
さらに、損益勘定を資本金に振替えて次期へ繰越します。
- 損益振替
- 資本振替
損益振替
100,000円分の商品を仕入れ、300,000円で販売した場合は次のような仕訳になります。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
売上 | 300,000 | 損益 | 300,000 |
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
損益 | 100,000 | 仕入 | 100,000 |
損益振替は、費用と収益の勘定を全て損益勘定に振替えます。
そして、損益勘定の貸借差額が当期純利益です。
通常は貸方の金額の方が大きくなりますが、借方の方が大きい場合は赤字ということになり、当期純損失になります。
資本振替
当期純利益が計上されたときは、資本金が増えたと考えて損益勘定を資本金勘定に振替えます。
これを「資本振替」といいます。
逆に当期純損失が出た場合には、その分だけ資本金を減らします。
当期純利益が200,000円の場合の資本振替の仕訳は以下の通りです。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
損益 | 200,000 | 資本金 | 200,000 |
貸借対照表の勘定を締め切る
資産・負債・純資産の各勘定を締め切り、次期繰越をします。
各勘定の貸借差額が次期繰越の金額です。
次期繰越も含めた各勘定の貸借は必ず一致します。
勘定締め切りのイメージ↓

損益勘定は資本振替で貸借差額を資本金に振替えているので、次期繰越はありません。
期末繰越試算表の作成
繰越試算表とは、さっき説明した各勘定の「次期繰越」を集計したもので、貸借対照表に載る資産・負債・純資産の各勘定の次期繰越額が、借方合計=貸方合計になるかを確かめるものです。
期末繰越試算表は「次期」への繰越が発生するタイミングに作成されるので、会計期間の終わりに作られます。
これがそのまま期首繰越試算表に載ってきて、期首の手続き(期首再振替)に繋がってきます。
貸借対照表、損益計算書を作成する
簿記の最終的な目的は、「企業の財政状態と経営成績を明らかにすること」であり、財政状態を表す報告書が貸借対照表、経営成績を表す報告書が損益計算書です。
つまり、貸借対照表と損益計算書を作成することが簿記の最終目的であり、この2つを作成して簿記一巡の手続き終了となります。
精算表
精算表とは、決算のときの決算整理仕訳のうち、決算整理前(前TB)の各勘定の残高と決算整理仕訳による残高(後TB)の変化を1つにした表です。
精算表の作成により、全体を把握しやすく、簡単に作業を進めることができます。
簿記一巡の手続き:まとめ
全体の流れはこのような感じです。
- 期首繰越試算表によって前月からの資産と負債をまとめた表を作成
- 再振替仕訳(未払費用や前受収益など)
- 期中の取引
- 前T/Bの作成(総勘定元帳への転記が正しく行われているかの確認)
- 決算整理仕訳により前月と次月の収益、費用を区別する
- 後T/Bの作成(決算整理後の修正記入した試算表)
- 費用、収益を損益勘定に振り替える
- 損益勘定を資本金に振り替える
- 時期繰越と記入して貸借対照表を締め切る
- 次期に繰り越す資産と負債を期末繰越試算表にまとめる
- 損益計算書、貸借対照表の作成
- 清算表によってそれらを一覧化し、見やすくする
長くなりましたが、これから仕訳などを勉強していくときに「自分が簿記一巡のどこの勉強をしているのか」を意識しておくと、かなり覚えが速くなるので是非ノートにまとめるなどしてみてください。
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