- 始めて減価償却を勉強する。
- 有形固定資産取得や売却の流れがあまり分かっていない。
そんな疑問や流れを解説していきます。
- 固定資産の取得時、売却時、の仕訳が分かる
- 決算時の減価償却の処理の仕方が分かる。
減価償却とは?
減価償却とは、資産は時間が経つにつれてその価値が減っていくという考え方です。
減価償却していくものは主に…
- 車両運搬具
- 建物
- 備品
などが3級の試験に出ます。
減価償却のイメージはこうです。
金額は低いですが¥900,000の車を購入(取得原価)、減価償却費¥300,000、耐用年数3年、残存価額ゼロ(減価償却し終えた残りの価値)だとします。

¥900,000の車を3年かけて減価償却していき、残りの価値は0円になるということです。
これは建物でも備品でも同じです。
このように毎年一定額ずつ償却する方法を定額法といいます。
3級には定額法しか出ないので、これから出す例題では定額法を前提とします。
有形固定資産の取得と減価償却の仕訳
残存価額0の場合
×1年4/1日に3万円のパソコン(耐用年数は5年、残存価額は0円)を現金で購入した。
備品 | 30,000 | 現金 | 30,000 |
×2年3/31決算になった。4/1に購入したパソコンの減価償却をしなさい。
減価償却費 | 60,000 | 備品 | 60,000 |
3万円のパソコンは5年かけて価値が0に近づいていきますから、1年ごとに60,000円(3万÷5年)価値が減るということになります。
備品60,000円分貸方計上して、相手科目は減価償却費(費用)になります。
しかし、このように備品から直接減価償却するやり方は直接法といって、簿記3級には出てきません。
簿記3級は間接法というやり方が出てきます。
間接法のやり方は以下のような仕訳になります。
減価償却費 | 60,000 | 備品減価償却累計額 | 60,000 |
直接的に備品から差し引くのではなく、減価償却累計額という勘定科目を使います。
備品の価値は3万のまま減らないので、備品減価償却累計額を差し引いて現在の簿価(帳簿上の価値)を確認する必要があります。
減価償却累計額は資産のマイナスを表す評価勘定で、備品や建物の固定資産を保有している限り貯まっていきます。
決算時には、耐用年数を過ぎるまでこの仕訳を繰り返します。
残存価額0でない場合
30万円の建物を×1年4/1に購入している。耐用年数5年で5年後の価値は5万円と見積もられている。×2年3月31日の決算の仕訳をしなさい。
減価償却費 | 50,000 | 建物減価償却累計額 | 50,000 |
減価償却費=取得原価(購入代金)-残存価額(減価償却した後に残る価値)÷耐用年数
(30万円-5万)÷5年=50,000
1年で5万円ずつ償却していけば5年後に5万円残るということです。
この仕訳を5年間続けます。
有形固定資産の売却の仕訳
期首に固定資産を取得し、売却した場合の仕訳
今から簡単な例題を4問出しますが、続きとなっております。
1つずつ解いていってみてください。
×1年4/1→60万の建物(耐用年数10年、残存価額0)を掛けで購入した。
建物 | 600,000 | 未払金 | 600,000 |
×2年3/31決算→上記の建物を減価償却しなさい。
減価償却費 | 60,000 | 建物減価償却累計額 | 60,000 |
×3年3/31決算→上記の建物を再び減価償却しなさい。
減価償却費 | 60,000 | 建物減価償却累計額 | 60,000 |
×3年4/1→上記建物を50万円で掛けで売却した。
①建物減価償却累計額
②未収入金 |
120,000
500,000 |
①建物
③固定資産売買益 |
600,000
20,000 |
最後の例題が固定資産の売却の仕訳です。
まず押さえておきたいのが、建物を取得してから2回減価償却(12万円)していることと、60万円で買った建物を50万円で売却していることです。
- 60万の建物(資産)が減り、建物減価償却累計額(建物のマイナス)が消える仕訳です。建物と建物減価償却累計額はセットになりますので、売却した時には共に無くなります。
- 建物を掛けで売却しているので未収入金(資産)として処理します。未払金と同様に、商品を掛けで売却した場合売掛金として処理しますが、商売以外で掛けで売却した時は未収入金処理します。
- 「60万円の建物を12万円分償却して、残りの価値は48万円のはずなのに50万円で売れた」ということなので、2万円分得してるということで、固定資産売却益という収益を計上します。
期中に固定資産を購入し、売却した場合の仕訳
さっきの例題は期首に建物を購入、売却した場合の仕訳です。
これを期中に購入と売却した場合の仕訳はもう少し複雑になります。
×1年12/1→60万の建物(耐用年数10年、残存価額0)を掛けで購入した。
建物 | 600,000 | 未払金 | 600,000 |
×2年3/31決算→上記の建物を減価償却しなさい。
減価償却費 | 20,000 | 建物減価償却累計額 | 20,000 |
1年分の減価償却費は60万円÷10年で6万円になります。
しかし、建物を12/1に購入しているので償却するのは4か月分だけです。
1年の償却額6万×4か月/12か月=2万円となります。
×3年3/31決算→上記の建物を再び減価償却しなさい。
減価償却費 | 60,000 | 建物減価償却累計額 | 60,000 |
2回目の減価償却は1年分の償却額でいいので6万円を計上します。
×3年7/1→上記建物を55万円で掛けで売却した。
建物減価償却累計額
減価償却費 未収入金 |
80,000
20,000 550,000 |
建物
固定資産売買益 |
600,000
50,000 |
この場合、7/1の期中に売却しているため、4/1~7/1までの4か月分減価償却しなければなりません。
4か月分は2万円なので、それを減価償却費として計上していきます。
まとめ
- 固定資産は日が経つにつれて価値が減っていく。これが減価償却。
- 3級では一定額償却していく定額法が出る。
- 3級では固定資産を間接的に減らしていくため、減価償却累計額という勘定科目が使われる。これは固定資産と常にセット。
- 残存価額0の場合とそうでない場合の計算に気を付ける。
- 期首に取得や売却した場合と、期中に取得した場合の仕訳に気を付ける。
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