そんな疑問を抱く方は多いと思います。
「こんな疑問考えもしなかった」という人も、「改めて問われると説明できないな」と思うかと思います。
今回はそんな疑問を解決していこうと思います。

立替金、仮払金、前払費用、前払金の違い結論!
まずは4つの勘定科目の違いについて結論からまとめますと、
▼仮払金
内容や金額が分からない時にとりあえず計上するための資産勘定科目で、費目や金額が明らかになった時に適切な科目に振り替えられます。
▼前払金
商品を注文した際に支払った内金や手付金を処理する資産勘定科目で、商品を受け取った時に仕入に変わります。
▼立替金
従業員や取引先が負担すべき金額を代わりに立て替えた時に、あとで受け取る権利として計上される資産勘定で、立替金を回収した際に取り崩されます。
▼前払費用
当期中に支払い済みの費用に翌期の分が含まれているとき、それを翌期の費用として計上するために貸借対照表上で繰り延べるための資産勘定で、翌期に前払費用勘定の残高を費用勘定に再振替仕訳することによって取り崩されます。
このように、似たような名前ですが、使いどころは全然違うわけです。
実際に例題を見ながら覚えていきましょう。
仮払金の仕訳
仮払金は、出張旅費の概算払いや概算払いの精算の時に使われる勘定科目です。
金額や費目が正確に分からないときに使います。
出張の概算払い
従業員の出張にあたり、旅費の概算額¥20,000を現金で支払った。
仮払金 | 20,000 | 現金 | 20,000 |
概算払いした仮払金の清算
出張中の従業員の旅費精算を行った。旅費の概算額として¥20,000を渡していたが、電車代が¥10,000、タクシー代が¥4,000であった。残額の¥6,000は現金で受け取った。
現金
旅費交通費 |
6,000
14,000 |
仮払金 | 20,000 |
仮払いしていた¥20,000を旅費交通費¥14,000に使ったため、旅費交通費に振り替えるとともに、残りの¥6000を現金で受け取る仕訳をします。
前払金の仕訳
前払金とは、商品代金の前払い分で、商品を注文する時に、内金や手付金として支払ったお金です。
手付金と内金の支払い
前払金は、商品を受け取る前に現金を受け取った場合に使います。
掛けで仕入れたりした場合には買掛金を使いますが、現金で支払った場合には前払金というふうな認識で良いでしょう。
仕入先に商品¥50,000を注文し、手付金¥20,000を現金で支払った。
前払金 | 20,000 | 現金 | 20,000 |
商品はまだ受け取っていないため50,000は計上せず、手付金20,000だけ支払っているのでそれだけ計上します。
商品受け取り時の内金の相殺
仕入先から商品¥50,000を受け取り、代金のうち¥30,000は注文時に支払った内金と相殺し、残額は掛けとした。
仕入 | 50,000 | 仮払金
買掛金 |
20,000
30,000 |
¥50,000分の商品を受け取り、仮払いしておいた20,000を取り崩します。
残りは買掛金処理します。
立替金の仕訳
立替金は従業員や取引先が負担すべき金額を代わりに立て替えた場合に計上される資産の勘定科目です。
先方負担の発送費用の立替
得意先に商品¥50,000を掛けで売り上げた。なお、商品の発送費用(先方負担)¥1,000を運送会社に現金で立替払いした。
売掛金
立替金 |
50,000
1,000 |
売上
現金 |
50,000
5,000 |
売上と別に、相手負担の発送費が1,000円かかり、自分が代わりに支払っています。
後に、相手から請求できる権利を得たので、立替金という資産を手にしたということになります。
立替金の回収
上記で立替ていた得意先負担の運送費用を現金で回収した。
現金 | 1,000 | 立替金 | 1,000 |
従業員が負担すべき費用の立替え
従業員が負担すべき生命保険料¥2,500を現金で立て替え払いした。
立替金 | 2,500 | 現金 | 2,500 |
本来、従業員が負担すべき生命保険料を会社側(自分側)が代わりに支払っています。
後に、従業員からお金を受け取れる権利を得たということなので立替金という資産を得たということになります。
立替金の回収
従業員に給料¥300,000を支払った。その際、立替ていた生命保険料¥2,500を差し引き、残額を現金で支払った。
給料 | 300,000 | 現金
立替金 |
297,500
2,500 |
従業員への給料(費用)を30万計上し、30万から保険料を差し引き29万7500円の現金が減ります。
立替金は、給料から2,500円差し引かれていますのでなくなります。
前払費用
前払費用とは、決算の時に出てくる勘定科目です。
例えば…
×2年2/1、向こう1年分の保険料1,200円を現金で支払った。
なら、仕訳はこうなります。
支払保険料 | 1,200 | 現金 | 1,200 |
×1年3/31、決算となった。前払分の保険料を計上しなさい。
前払保険料 | 1,000 | 支払保険料 | 1,000 |
経費を前払いして決算を挟んでしまった場合、今回の例で言いますと、10か月分は次期の費用となります。
ということは、「当期計上した支払保険料は本来次期に計上しなければならないもの」です。
そのため、10か月分の支払保険料1,000円を取り崩し、相手勘定には前払費用が用いられます。
お金は払ったため、次期にサービスを受けれる権利ということで資産の勘定科目となります。
立替金、仮払金、前払金、前払費用の違い:まとめ
- 仮払金:内容や金額が分からない時にとりあえず計上するための資産勘定科目。
- 前払金:商品を注文した際に支払った内金や手付金を処理する資産勘定科目。
- 立替金:従業員や取引先が負担すべき金額を代わりに立て替えた時に、あとで受け取る権利として計上される資産勘定科目。
- 前払費用:当期中に支払い済みの費用に翌期の分が含まれているとき、それを翌期の費用として計上するために貸借対照表上で繰り延べるための資産勘定科目。
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